そして悪魔は二度微笑む【コラボ】
──センタールーム。


薄暗闇の部屋の中で、グランはハーグレイを叱責していた。

「なんとかしてもう少し持ちこたえろ! 全くロングボウまで持ち出したっていうのに、何の役にも立たない」

「分かってはいるのですが……。侵攻のスピードが異常なんですよ! ここから早く脱出した方が宜しいかと」

「グラン様! アレを使いましょう」

アインがその横から口をはさみ、ハーグレイがその言葉に反応した。

「正気か!? あんな制御も出来ない物を野放しにする気か」

「元よりデータが入ったマイクロチップは、敵の手に渡っている。どの道この研究所は終わりだよ。なら此処までの研究成果を試すのも悪くない。グラン様、第二研究室を解放して第一ホールからこちらの隔壁を閉じてしまえば足止めにもなります」

グラン・マッコイは、監視カメラに映る二人の男女を見つめた。

映像の中の二人は、歩みを止める事なく一直線にこちらへ向かってくる。

かたや圧倒的な戦力差を跳ね返した傭兵。かたや、他の施設のコンピューターを破壊し、この研究所の外部接続を遮断させた科学者。

そして今、その二人を止めようと通路で待ちかまえる傭兵達は、足止めにすらならずに倒されていく。

一体何だと言うのか? 戦力的には、傭兵程度がどうにかできるレベルでは無かった筈だ。

セキュリティに関してもこの施設を含めて、簡単に侵入できる類の物ではなかった。

それがどうだ? 地上は既に制圧され、施設内への侵入を許し、残された選択肢は地下通路からの脱出のみ。

これではまるで悪魔の所業ではないか。人の道を外れた研究に手を貸した事で悪魔がその代償を受け取りに来たとでも言うのか?

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