そして悪魔は二度微笑む【コラボ】
「隙を作る……ではなく。タイミングを掴め……か……」

廻るように、二人は一定の軌道、一定のリズムでホールの中を動いている。

そのリズムを肌で感じながら、研究所の地図と自らの位置を脳裏で確かめた。

狙う方向は西。数十メートル、全てを切り裂いて進むレーザーを仲間や、罪のない研究員がいるかもしれない上下に放つ訳にはいかない。

ここに来るまでの傾斜を考慮すれば、このホールから西の方向は土しか無いはずだ。

ベリルは、位置関係を考慮しながらリズムに合わせてホールの中心に行くと、レーザーカッターのスイッチを入れた。

光の剣が一直線に放たれる。

直後、麻美を追うDE-1がその直線上を横切った。

光が消える。

DE-1の頭が滑るように体からズレ、ゴトッという音をさせて床に落ちた。

切断面は焼き切られ、鮮血は出ない。

そして、体だけがさまよう様に数メートルだけ歩き崩れ落ちた。


見届けた後、ベリルはレーザーカッターの柄を投げ捨てる。

床に落ちた柄は、ブクブクと音を立てて溶解し、跡形も無くなった。

「痛いのは感じると言わなかったか?」

ベリルの右の掌が酷い火傷を帯びている。

「私も痛いのは嫌だからな……だから言わなかった」

言っても無駄だと悟ったのだろう。

ベリルは短く嘆息すると、奥への道を遮断する隔壁にC4を取り付けた。

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