そして悪魔は二度微笑む【コラボ】
ジム・ハミルトンは、救出された時消耗が激しく、病院への入院を余儀無くされた。

そして、数日間の面会謝絶が解かれたある日。ベリルはニナと病院を訪れた。

強い日差しの射す日。病院裏の庭で、ジムは車椅子に座り虚空を見つめる。

父のその姿を見つけ、涙を浮かべる娘。

ベリルは、そっとニナの背中を押してやった。

走りだすニナ。気付く父。その様子を見ながら近くの木に背中を預けた。

そして、一瞬だけ視線を右に移した後、口を開く。

「覗き見とは、趣味が悪い」

「生態観察と言ってくれ」

何もない空間に紫電が走り、蓮城麻美が現れる。

「何のだ?」

「貴様のだよ」

ベリルの眉間に皺がよる。

「遺伝子工学に弱いと思われるのも癪だったのでな。髪の毛一本頂いた」

「それで?」

麻美が後ろ手に手を組んで、ゆっくりと周囲を歩く。

「出身を調べようと思ったのだが……。余りにDNAの螺旋構造が美しくてな……不自然な程に」

「それで? 生態観察をして何か面白い事でもあったかね」

ベリルはその動きを目で追う。

「いいや……。出自はどうあれ、人は人でしかないと再認識しただけだ」

「くくくっ……」

麻美がベリルの前に立ち止まる。

「例の物はどうした?」

「一仕事終わったのでね。打ち上げのバーベキューで炭と一緒にくべた」


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