空へ。‐夢の先‐
うちは結構大家族。


共働きの母さん、父さんに
20歳の社会人である双子の兄と姉。

中2の妹の麻姫に
小4の笑喜(しょうき)と保育園児の唯喜(ゆいき)の弟2人。



それに妬みの天才、春花から言わせればうちは金持ちらしい。


そんな風に感じたことは一度もないけれど。




母「ね、紗姫、あとで保育園に唯喜迎えに行ってくれない?」

紗姫「ん、分かった

…笑喜は?」

母「さあ?どこぞで遊んでんじゃない?(笑)」

紗姫「そっか!」




今はすごく仲良しなこの家族も、少し前まではかなり荒れてた。


だからこそ今は幸せだなって思うし、心から家族が大切だと思えたり。


それもこれも、
唯喜の存在が大きいんだと思う。


唯喜はまだ小さくて純粋だから、あたしも絶対傷つけたくはない。



さっそく着替えて、唯喜を迎えに保育園まで自転車で急いだ。



─────────…



紗姫「…唯喜〜!♪」


唯喜「さあねーちゃん!」


先生に挨拶して、中に入って唯喜の姿を探していると、
前からとてとてと可愛い弟が走ってきた。



紗姫「唯喜〜おそくなってゴメンなぁ!」


ぽすっと抱きついてきた唯喜の目線に合わせるようにしゃがみ込んで

両手で頭を包み込むようにわしゃわしゃと撫でた。



唯喜「あのね、ぼくね!さあねーちゃんがくるのまどからみてたんだよ!」


紗姫「マジ!?ありがとう迎えにきてくれたんだね〜!

さあ、帰ってご飯食べよっか!」

唯喜「うん!」



あたしは大好きな唯喜を抱き上げて
もう一度先生に挨拶してから帰路についた。



「唯喜くんのお姉さんって不良っぽいのに凄く礼儀正しくて良い子ですよね〜」

「まぁ、やっぱり結構いいとこのお嬢さんですからね」

「スタイルもいいし美人だし、唯喜くん自慢のお姉さんなんだろうな〜、」



先生たちが、あたしたちを見てそんな会話をしていたなんて知らずに。
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