空へ。‐夢の先‐
蓮「じゃーお前ら元気でな〜〜〜♪♪!!」


「「「ばいばーい!」」」



寮の前で荷物を持って、みんなで手を振る。

それぞれのペースで荷物を持ち上げて家に帰っていく。




ちょうどとなりに、成二がいた。



紗姫「まだ行かないの?」

成二「おう、」

紗姫「なんか寂しくなるねぇ、」

成二「まだ稽古残ってんだろ」

紗姫「それもそうなんだけどさ」



気づけば2人で座り込んで、ダラダラと寮の前を動こうとしなかった。



成二「……つかお前それ、運べんのかよ」


成二が指したあたしの大荷物。


紗姫「あ、うんこれは…、」


「前川〜〜〜!!!」



あたしの声を遮って聞こえてきた大声。



紗姫「橋口〜!田中〜!こっちこっち!」



成二「……………?」



車を運転してる田中と、その助手席に乗った喜美。

その横を原チャリで走ってくる橋口に


気づかれるように大きく手を振った。





橋口「荷物多ッ!!」

田中「ったく、俺無免なんだぞ」

喜美「紗姫ー!お疲れ様っ!」


ぎゅっと抱きついてくる喜美に
嬉しくなってあたしも抱きつき返した。



紗姫「ありがとう喜美!」


田中「よし、じゃぁさっさと運んじまうか」

橋口「重ッ!!」

紗姫「あ、ごめんね」





田中「………前川、後ろの人は?」


荷物を車に運び終えた田中が指さしたのは、あたしの後ろで座ってる成二だった。



紗姫「あ、成二!一緒の劇団の!」

「「「え!」」」



あたしがそう言うと、見事に3人が声を合わせた。



喜美「あれが例の!?」

田中「前川の好きな「うるっさい!!!」


でかい声で騒ぎ始める3人を必死に止めた。


成二がこっちを怪しそうに見るから…。
< 106 / 125 >

この作品をシェア

pagetop