空へ。‐夢の先‐
賢人「ここさ、来たときから思ってたんだけど

なんか仕事しやすいんだ。
仕事のほうだって、売り上げも自分の中の満足度も上がってるし」


龍「ほんとにここが気に入ってんだな(笑)」


賢人「うん(笑)こんなに濃い1年は今までなかったなぁ…」


龍「賢人、お前にはほんとに助けられたよ」


賢人「え?」


龍「俺はお前がこの劇団のリーダーになってくれなかったら

情けない話、この劇団を最後までちゃんと引っ張れなかったと思う」


賢人「……龍くん、」


龍「…本当にありがとう」


賢人「…………俺の方こそありがとうございました。」



賢人は立ち上がり、龍に向き直って丁寧にお礼を言った。



龍「…お前らみんながちゃんと…最初の仕事が決まって良かった…、」

賢人「……………」





龍「……長い間…本当によく頑張った…

…22人もいれば時間がかかる奴も出てくると思うけど…


お前らは…必ず。

…必ず光を浴びられる…」





賢人「…泣かないで下さいよ。

…最初から最後まで俺たちを信じてくれたのは龍くんじゃないですか」




きっと、立派になってみせます。


そう言った、成長した教え子の笑顔を見て

龍も涙を拭い、笑う。



そして、龍も自分の荷物を持って


1年間使い込んで、少し傷んだドアの向こうへ歩いていった。




賢人はベランダに出て、空を見上げ


その先の光を掴んでみせると
静かに誓った。






─────────…


母「麻姫!?あんたどこいってたの!?

ずっと心配して…、」


麻姫「うるさいなぁ、風呂と着替えしにきただけだよ

…風呂入ったらすぐにまた出るから、」



母「麻姫…、」



里緒「ちゃお!」

麻姫「!?」


沙也香「おっす!オラ、サヤカ!」


麻姫「………、?」


母「里緒ちゃん、沙也香ちゃん…」



急に廊下から聞こえてきた声。

まさかとは思ったけど、リオサヤが絡むとめんどくさいから一応見に行く。
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