空へ。‐夢の先‐
「杉本家」とかかれた表札。



チャイムも押さずに家に上がり込む。

鍵は開いていた。




紗姫「おばちゃん!」

「紗姫!久しぶりねぇ、帰ってたの!?」

紗姫「うん…、ねぇ、章介は?」


「あ…、章介に会いに来てくれたの…」



おばちゃんは少し困ったように目を泳がせた。



紗姫「………………」


「…章介は……、」

紗姫「どこ?」



次の瞬間、あたしは自分の耳を疑った。





「…章介…、今…精神病なの、」





紗姫「……は、?」


「……いつの間にか…、たくさんの借金作ってて…何人も取り立ての人が来て、

1人で抱え込んでた章介は…精神的に追い込まれて…


悠太が貯めてたお金で何とか払ったんだけど…、」


紗姫「え、…ちょ、

ちょっと待ってよ!、悠太留学するのが夢だったじゃん!、

そのために必死にバイトしてお金貯めて…、」


「………………、」



紗姫「……まさかそのお金…、」



「…ごめん、こんな話聞かせて」


紗姫「…………」



今の章介はどうなっているんだろう。





“…任せろ!♪”




ねぇ章介。


あんたそう言ったじゃん。



あたしが迷ったら探してくれるって言ったじゃん。



なのに何で?



何であたしを探してくれるはずのあんたが道に迷ってんの…。





「…紗姫?」

紗姫「あ、ごめん。大丈夫だよ」


「…そう、私ちょっと銀行に行ってくるわ

できれば…章介には逢わないほうがいいかも


…じゃあ、適当に帰っててね」



おばちゃんは、あたしを見ずにそう告げて玄関を出て行った。
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