空へ。‐夢の先‐
急に土下座して謝り始めた章介。



あたしはどうすればいいか分からず

必死に謝る章介を揺すった。



目に涙がたまる。


どうすればいいか分からない…


こんな章介見たことない…。





──正直、ここから逃げ出したいと思った。



今すぐにでも、目をそらしたいと

そう思ってしまった。





悠太「………章介!!」



章介の名前を呼ぶのに精一杯で

声を聞きつけた悠太が部屋に入ってくるまで
人が帰ってきていたことに気づかなかった。




紗姫「…ゆ、た…」



悠太「章介大丈夫だ、大丈夫だから」

章介「ゆうた、悠太ごめん、ごめんごめんなさい…!!」


悠太は
章介を抱き締めて背中をさすっている。



悠太「大丈夫、大丈夫、」



優しくそう言う悠太の横顔は、すごく、儚げだった。



悠太「しばらく落ち着くと思うからゆっくりしてるんだよ。」



悠太は章介に薬を飲ませると


ボーっと座っている章介を部屋に残して
あたしを呼んで部屋を出た。





悠太「おかえり、紗姫。帰ってたんだな」


ネクタイを緩める悠太は、あたしににっこり笑いかけた。



紗姫「うん…、」


悠太「そっか、またみんなでお帰り会しないとな。」

紗姫「……………、」



悠太「…ビックリしたろ?
章介変わったから、」



あたしの座っているテーブルにお茶を置いてくれる悠太。



紗姫「………うん」


悠太「我慢しなくていいから、キツいなら章介には逢わなくていいよ」


紗姫「…………何で、?」


悠太「………………」


紗姫「…何で章介…あんな病気に…?」


悠太「……本当に聞きたいのか?」



強い目をする悠太に、


少し戸惑ったけど、あたしはゆっくり頷いた。
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