空へ。‐夢の先‐
────見学会、当日
沢木さんにスカウトを受けた3日後。
あたしは何故か無意識に勝負服を着て
いつもより丁寧に髪をセットしてメイクも気合いを入れた。
なんたって、知らない劇団員候補だっているし
気は抜けない。
ナメられて…いや、変に見られたら嫌だし。
紗姫「行ってきまーす!」
母「いってらっしゃい!」
父「あとでな〜、」
朝、6時20分。
太陽がまだやんわりオレンジ色、
あたしは玄関を出て大きく背伸びした。
章介「…やっぱり、」
門を出て歩き始める前に。
あたしの家の併にもたれかかった章介が声をあげた。
紗姫「…章介、」
章介「なんとなーく、今日は紗姫が早い気したんだ」
紗姫「なにそれ(笑)」
あたしが笑うと、沈黙が続いた。
章介「……………、」
紗姫「……………?」
何も言わず、下を向く章介の言葉を待つ。
章介「なんつか、」
紗姫「…なんだよ!」
しびれを切らしたあたしが大声をあげると
章介はゆっくりと顔を上げた。
章介「…あんまりよ、
…遠いとこまで行くんじゃねぇぞ、」
紗姫「……………」
章介「お前マイペースだから…すぐフラッとどっか行っちまうし」
はあ、とため息をついた章介の顔は
珍しく真剣だった。
章介「俺のお前に関する予知、よく当たんだよ
迷子になんなよ!」
複雑そうな笑顔で、あたしに向かって言う。
紗姫「…………まあ、そん時はお前が探してくれ!」
沢木さんにスカウトを受けた3日後。
あたしは何故か無意識に勝負服を着て
いつもより丁寧に髪をセットしてメイクも気合いを入れた。
なんたって、知らない劇団員候補だっているし
気は抜けない。
ナメられて…いや、変に見られたら嫌だし。
紗姫「行ってきまーす!」
母「いってらっしゃい!」
父「あとでな〜、」
朝、6時20分。
太陽がまだやんわりオレンジ色、
あたしは玄関を出て大きく背伸びした。
章介「…やっぱり、」
門を出て歩き始める前に。
あたしの家の併にもたれかかった章介が声をあげた。
紗姫「…章介、」
章介「なんとなーく、今日は紗姫が早い気したんだ」
紗姫「なにそれ(笑)」
あたしが笑うと、沈黙が続いた。
章介「……………、」
紗姫「……………?」
何も言わず、下を向く章介の言葉を待つ。
章介「なんつか、」
紗姫「…なんだよ!」
しびれを切らしたあたしが大声をあげると
章介はゆっくりと顔を上げた。
章介「…あんまりよ、
…遠いとこまで行くんじゃねぇぞ、」
紗姫「……………」
章介「お前マイペースだから…すぐフラッとどっか行っちまうし」
はあ、とため息をついた章介の顔は
珍しく真剣だった。
章介「俺のお前に関する予知、よく当たんだよ
迷子になんなよ!」
複雑そうな笑顔で、あたしに向かって言う。
紗姫「…………まあ、そん時はお前が探してくれ!」