空へ。‐夢の先‐
章介「…任せろ!♪」



照れくさくて、少し笑うと
章介もいつもの笑顔になった。



章介が何を心配したのかは分かんないけど

とりあえず、ありがとう。


章介の言葉に、少し肩が軽くなった。






────────……


プシュー…



紗姫(ざっけんじゃねぇよマジで〜!!)



二回ほど電車を乗り継いで、やっと駅を出た。

乗っていた電車がまさかのアクシデント発生で

走らなきゃ集合時間に間に合わない事態になってしまった。



くっそ、もっと速く動きなはれあたしの足!


歳って怖い!!



そんなアホなことを考えながら
人目も気にせず全力疾走。

走んの嫌いしんどいだるいめんどくさい。


心の中で章介の“我慢しろ!”っていうツッコミ(テレパシー?)が聞こえた。




────ガンッ!!



無我夢中で走ったため
不意に誰かと強くぶつかった。


鞄の中身が少し散らばる。



「あ、すいません!」

紗姫「いえ、こちらこそ前見てなくて…すいません!!」



ぶつかった相手は、少し年上っぽい
作業着を着て頭にタオルを巻いたお兄さんだった。


タオルの隙間からのぞかせた金髪もピアスの一切ない顔や耳も

その人の全てから独特で不思議な雰囲気を感じた。



その人の魅力に一瞬固まったけど、今は逆ナンしてる場合じゃない。



2人で拾った荷物を鞄の中に乱暴に詰め込んで

お礼を言ってあたしはまた走り出す。





「ちょ…!、



……?“…前川…紗…ひめ…”…?」



その人とあたしの再会を繋げるあたしの生徒手帳が

あの時落とした荷物の中にあったなんて

この時のあたしは知るはずもなかった。
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