空へ。‐夢の先‐
合図の音が
あたしの耳には妙に大きく聞こえた。



菅原「"やっといた…!大丈夫!?怪我はない!?"」


健「"…うぅっ…おかぁさん…おとぉさん…ふぅっ…"」


菅原「"大丈夫だよ、お父さんもお母さんも必ず助けるから"」


龍「"おい何してる、さっさとしろ、時間がないんだ"」


菅原「"進藤さん!さっき飛び出して行った子ども見つけました!"」


龍「"………早く連れて行け"」


健「"お兄ちゃんたちはお父さんたちを助けてくれないんでしょ!"」

菅原「"!?"」

龍「"……………?"」

「"だから僕が助けに来たんだ…"」


龍「"…ゴチャゴチャと邪魔なガキだな、竹村、さっさとしろ"」

菅原「"進藤さん…、!"」


健「"お父さんがアイツらはいざというときに役に立たないなんて言ったから!?

だからお兄ちゃんたちは助けに行ってくれないの!?

僕のお父さんたちは…“救ける価値のない人間”なの!?"」


龍「"…何も知らないガキが簡単に救けるなんて口にするな"」

菅原「"進藤さん…もういいじゃないですか…まだ子どもなんですし…

ビビって何もできなかったアイツらよりは…よっぽど勇気ありますよ"」


龍「"勇気だけで人が助けられたら苦労しない。
俺たちが一番分かってるだろ。

…お前みたいな人間が、結局は人を泣かすんだ。"」

健「"…………っ、"」

菅原「"進藤さん…"」

龍「"…分かったらさっさと外で待ってろ"」



「"…進藤さん…!?そっちは…"」

龍「"聞こえなかったのか、さっさと連れて行けって言ったんだ"」


菅原「"進藤さんの体じゃ無理です!それに…、それにあの2人はもう救けられない場所に…、"」

健「"!?"」
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