空へ。‐夢の先‐
こぼれてくる涙を手の甲で拭うと、真っ直ぐに母さんを見る。



中途半端な気持ちじゃないのを、分かってほしいから。




母「…そんなこと気にしなくていいよ」


紗姫「…………?」


母「…実は紗姫が行ってる間に、みんなで話をしたの。

反対の意見もたくさん出た。


でも、でもね。

もし帰って来た紗姫が、本気でやりたいって言ったら

応援してあげようって決めたの。」


紗姫「……ほんとに…?」


母「ほんと。」



母さんは、あたしの手を優しく包み込んだ。




母「少しでも辛くなったらいつでも帰って来なさい。

それで…たくさん買い物して元気出して。


待ってるからね。紗姫の家は、ずっとここにあるから」



そう言ってくれる母さんが、涙でぼやける。

心がすぅっと溶けるように温かくなる。




紗姫「…ありがとうっ…、」



ほんとにありがとう。

昔から迷惑しかかけてこなかったのに。

傷つくことも、たくさん言ったのに。


いつもあたしを一番に、分かってくれる。




母「さあ、電話で沢木さんに挨拶しなきゃ!

緊張する〜☆」


紗姫「…何言ってんの…、」


目の前で騒ぐ母さんを見て、あたしは涙を拭いながら笑った。




母「あんたは早く、話してやんなさい?」

紗姫「?」

母「1人だけ、拗ねてるから」



そう言うと、母さんは奥の和室を指差した。



紗姫「………………」
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