空へ。‐夢の先‐
唯喜を降ろして、一緒に絵本を読んだりテレビを見ていると

いきなりリビングの扉が開いた。



麻姫「母さーんあたしのアイス…

…お、よぅ芸能人、早かったな(笑)」


紗姫「お前気はえーよ(笑)」



冷蔵庫を開けてアイスをくわえて笑いながら
あたしと唯喜の座るソファに近づいてくる。


麻姫「お、唯喜!ねーちゃんに本読んでもらってんのか〜!」



良かったな〜と頭を撫でる。

唯喜は嬉しそう。



麻姫「あ…ねぇさき姉、あのヒョウ柄のやつあんじゃん、あれ貸してくんない?」


紗姫「ヒョウ柄のなに?」


麻姫「っと、ほらあんじゃん、…あのファーついてるの」

紗姫「あー!おっけ
勝手に取ってきて」

麻姫「さんきゅー」



嬉しそうな顔をすると
麻姫はそそくさとリビングを出て行った。



紗姫「あ、母さん!そういえば麻姫と同級生の子いたよ〜見学会」


母「うそ、色んな年代の子いるのね〜」


紗姫「ヤンキーもいればオタクもいて爽やかもいるし、

タイプもバラバラだったぁ」


母「へぇ〜、寮に入っても楽しそうじゃん」


紗姫「いや…なーんか嫌な予感すんだよなぁ」


特に成二とか。


母「寮も稽古場も、そんな遠くじゃないのね」

紗姫「そうなの?やった♪」

母「うん、高校もそんなに遠くないわよ」

紗姫「いえーいラッキーラッキー♪

これで遠かったらあたし落ちる!

やったね唯喜!」


唯喜「うん!」




その日のうちは、今日あたしが行った見学会の話で持ちきりだった。



笑い合っている最中に

ずっとずっと、みんなこのままでいてほしいと思った。


あたしのたった1つの
大事な家族。



もしも、もしもね。



あたしが立派に夢を叶えることができたら


今までの恩返しをたくさんしていくから。


もう少しだけ、あたしを見守っててほしい。



今、こうして元気に笑っててくれて

本当に、ありがとう。


あたしの大事な大事な家族。
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