空へ。‐夢の先‐
次の日の朝。


珍しく早く起きて、学校に向かうため玄関を出ると、たまたま章介と会った。


章介「よ、」

紗姫「はーよ、」


特にテンションが上がることもなく一緒に歩き出す。

家の前で章介とって…

家の中で兄弟と会うのと一緒。


くそうこれが彼氏だったらどれだけテンションが上がったものか!



章介「あーっ!いい朝だ」

紗姫「だな〜」

章介「つかお前寮入るんじゃん?」

紗姫「まぁね」

章介「いつから?」

紗姫「来月頭、」

章介「へ〜、がんばれよ♪」

紗姫「さんきゅ!」

章介「今のうちにサインもらっとくかな(笑)」

紗姫「じゃあこのシャツにデカデカと(笑)」

章介「いや、そりゃ遠慮しとくわ(笑)」




歩きながらそんな世間話をしていると、突然後ろから声が上がった。


「あ、おーい前川〜!!」


紗姫「??」

章介「だれ?」



原チャリに乗ったそいつは、立ち止まったうちらの横まで並んでブレーキをかけた。



紗姫「あ、橋口!おはよ!」

橋口「おう!…あれ?何、彼氏?」

紗姫「ちっがうよ幼なじみ!」

橋口「あー、章介くんか。おざーす!」

章介「はよ!章介っす☆紗姫がいつもお世話に!」

橋口「いえいえこちらこそ!」

紗姫「何だよそれ」


あたしが目を細めたら
橋口は自分のヘルメットを取って言った。



橋口「学校まで乗ってくか?」

紗姫「やった!交番の前は避けろよ!」

橋口「分かってるっての!でも、大丈夫っすか?」


はしゃぐあたしを余所に、章介に目をやる橋口。


章介「あー大丈夫大丈夫!俺ちょうどここで曲がるからさ☆

また紗姫抜きであそぼーぜ(笑)」


橋口「よっしゃ!(笑)」

紗姫「なんであたし抜きだ!!」



橋口からもらったヘルメットを頭につけると
2人を軽く小突いた。


橋口「っしゃ、しっかり掴まっとけよ」

紗姫「おっけ!んじゃ、ばいばい章介!」

章介「おう、じゃな」
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