空へ。‐夢の先‐
最後に章介にそう言って、走り出した原チャリ。


あとで橋口にも、春花たちにも言わなきゃ。

寮に入ること。

…ん?寮?



紗姫「ねぇ橋口!何で今日こっちから来たの?

家学校のずっと向こうじゃん!!」

橋口「昨日はばーちゃん家いたから!」

紗姫「なるほど、」



橋口ん家、寮と近いな、そういえば。

てゆーか橋口の通学路にあるんじゃん。



よし、これからは橋口と登校しよっと。




─────────…



原チャリを飛ばしたため、あっという間に学校についたあたしたち。


一緒に教室に入ると、1人で化粧を直す春花の姿があった。


橋口「おーす塚田」

紗姫「おはよ春花」


春花「あ、おはよー」


顔を上げずに返事をする春花。

そんなに濃い化粧しなくたって十分可愛いくせに

春花を見るといつもそう言ってやりたくなる。




春花「つか紗姫早くね?明日雪かな」

紗姫「春だっつの、」


橋口「まだ塚田1人かー、」



ほんとに早くついたな、そう呟く橋口。


紗姫「……………だったら迎えに行こ!」


「「……は??」」


紗姫「ほら早く!みんなに話あんだって!

2時間目には間に合うようにするから!」



あたしは春花と橋口にそう言うと、教室をさっさと飛び出して行った。


多分ちゃんとついて来るから、大丈夫。


廊下を突っ走って
下駄箱には喜美。



喜美「紗姫おっは…」

紗姫「喜美カラポ!!!」



靴をはきかえたばかりの喜美の声をさえぎって
それだけ伝えると、あたしは玄関を飛び出した。

ちなみに“カラポ”とはあたしたち行き付けのカラオケボックス。



喜美「はあ!!?紗姫!おま、今から!!??」


春花「らしーよ、」

橋口「ったくよくやるよ…」


喜美「…マジかよ…、」
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