空へ。‐夢の先‐
なんとなく、離れていく背中に、あたしは声をかけた。



紗姫「……………あの!!」

「…………………?」

紗姫「えと、良かったらお友達になってくれませんか!?」



やべえ、人生初の逆ナンだ。

ドキドキ。


「俺と?」

紗姫「はい!…えと、何ていうか雰囲気がすごい落ち着くっていうか…、」



何言ってんだあたし。

まるで軽い女じゃねーか。あは。



だけど、ここで別れてしまったら

絶対にもう逢えないから…。



「俺でよければ!」

紗姫「…あ、ありがとうございます!

お名前何ていうんですか?」


「…んー、名前はね、“カツラギ”」


紗姫「カツラギさん…、」

葛城「あのさ、」

紗姫「??」

葛城「呼び捨てでいいよ、下の名前は訳ありで教えられないけど…

"カツラギ"って」

紗姫「いや、そんな年上ですし…「いいから」



あたしの声を遮ると
ニッと笑う。


紗姫「…カツラギ…?、」

葛城「そ、
あとタメ口で!友達なんだし」

紗姫「…あ、ありがとうございま…

…いや、ありがと」

葛城「ん、よし。」



カツラギの、不思議な雰囲気に、いつもは振り回してばかりのあたしが振り回されっぱなしで

少し戸惑った。


けど、凄い良いひとな気がした。




紗姫「連絡先おしえて!」

葛城「全然教えるけどあんまり出ないと思うよ?、」

紗姫「いいの!友達だからー♪」



常に笑顔なカツラギとの距離は、タメ口でいいと言ってくれたことで一気に縮まった。


葛城「"ヒメ"…と、」


赤外線通信を終えたあと、携帯をいじりながらかすかな声で呟いた。



紗姫「ヒメ?」

葛城「ん?…ああ、手帳拾ったとき"サキ"って読めなかったんだよ

あとの文字に"姫"ってあっから勝手にヒメヒメって顔と一致させてた(笑)」
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