空へ。‐夢の先‐

越えられない壁

龍《紗姫、今日暇?》



休日の昼、龍くんからの急な電話。

寮入りの準備をするなか、何度がご飯に連れていってもらったりメンバーで逢ったりして

みんなそれぞれ距離を縮めていた。


沢木さんのことは、親しみやすくて兄貴分みたいな存在だから
みんなで“龍くん”と呼ぶことにした。


もちろん来月から始まる稽古中は“沢木さん”や“龍さん”だけど。


ちなみに、今日は学校の創立記念日だかで平日だがあたしたちは休み。

そのかわり土曜日行かなきゃいけないわけだけど。



紗姫「はい、まあ予定はないですけど…、」


龍《少し付き合ってくれるか?》

紗姫「はい、大丈夫です!」



どこに行くのかは分からないが、龍くんとデート(ただのお出かけ)できる!

やばい、楽しみ!!





あたしは電話を切ると急いで仕度をして、携帯かインターホンが鳴るのを心待ちにしていた。




〜〜〜〜〜〜♪♪♪


1人で鏡を見て髪型の最終チェックをしていると
聞きなれた着信音が鳴り響いた。



紗姫「もしもし!」

龍《元気いいな(笑)

家の前ついたけどもう出れるか?》

紗姫「はい、すぐに行きます!」




電話を切ると、鞄と携帯を取って
バタバタと玄関を走って出た。



─────────…


家の門を出ると、かっこいい車。
その横に龍くんが立っていた。



紗姫「こんにちは!」

龍「こんにちは。悪いな、急に。」

紗姫「いえ、全然大丈夫です!ちょうど暇してたんですよ!」


龍「それは良かった。
じゃあ、乗って?」


紗姫「お邪魔しまーす!!」



龍くんに会ってテンションが上がり、勢いよく綺麗な車に入った。

龍くんも少しほほ笑みながらあたしを見ると
運転席に座ってアクセルを踏んだ。



紗姫「ね、どこ行くんですか!?☆」

龍「ん?成二のとこ」

紗姫「…………へ?」


はい?成二?

あれ?デートは?
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