空へ。‐夢の先‐
紗姫「デ…いや、何で成二のとこなんですか?

てか、学校じゃないんですか?」


龍「そ、今成二がいる学校に行くの。」


紗姫「…マジすか!」



デートじゃねぇ!くそう!


紗姫「…てか、何であたしも?」

龍「ん?俺のSPをお願いしようと思って(笑)、」

紗姫「え!がんばります!」

龍「冗談だよ(笑)
そうだなぁ…、紗姫は成二の気持ち、俺より分かると思うからかな」

紗姫「成二の気持ち…?、」

龍「うん、まあ…ね

同じ年だし」



そう言った龍くんの横顔は、少しだけ寂しげだった。


あたしが、成二の気持ちを分かる?



その言葉に少し疑問をいだきながら

適当に芸能界や学校、劇団メンバーの話で盛り上がった。




─────────…


そんなこんなで何分かして、ある学校につき、2人で車をおりて校門の前に立つ。


紗姫「成二って高木なんだ…」


あたしの高校とけっこう近いな。


龍「俺もここ出身なんだ、」

紗姫「そうなんですか!?」

龍「おう、…まぁ、俺は中退だけどな」

紗姫「……………、」



やっぱり、龍くんの寂しげな表情は見間違えではなかった。

懐かしいと思っているような瞳の奥に
寂しさを感じる。


正直、その顔を見て

あたしは胸を痛めるしかできなくて
気のきいた言葉も思いつかなかった。



何も言えない自分が、悔しかった。




龍くんがあたしの少し前を歩いて、学校の事務員さんに話しかける。



龍「すみません、沢木成二は今日来てますか?演劇部の、」

「……あ……、はい、来てると思いますけど」



沢木成二、と聞いただけで
少しだけ顔をしかめた事務員さん。


仕方ないか、問題児っぽいし。



龍「ちょっと急ぎの用なんで…、呼んでもらえないでしょうか?」

「え…、」
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