空へ。‐夢の先‐
龍くんにつかみかかろうとしたチャラ男の肩を強く握る。


「…何だテメェ」

紗姫「………………」


成二(…あの女…、)



掴んだ肩をバッと振り払って龍くんから遠ざける。


龍「…紗姫、いいよ。危ないだろ?」

紗姫「龍くんが危ないほうがやだ、」


龍「…………、ありがとう、」


龍くんが、クスッと笑ったのがわかった。



「……そのツラ思い出したぞ」

紗姫「!?」

「お前前川紗姫だな、えれぇ美人になってて分かんなかったよ」


紗姫「………どーも」



成二「…芝居なんかやらねぇ」



龍「何でだ?お前すごい好きだったろ?」




その言葉を聞いた瞬間、成二の目の色が変わった。


パァン!!!!!



大きな音を立てて、龍くんのかぶっていた帽子が飛んだ。


─────パサッ、



紗姫「龍くん!!」

龍「心配すんな、大丈夫だ」


帽子がとれた瞬間
大きくざわめきだした教室。



紗姫「…テメェら騒いでんじゃねぇよ!!!見せモンじゃねぇぞコラァ!!!」




「さ、沢木龍…!?」

「何でこんなとこいんだよ!!?」

「沢木龍って、」

「……………………」



チャラ男を含めた成二の仲間は動揺を隠せないでいる。



成二「…二度と今の言葉口にすんな…、」



龍「………………」



成二と龍くんは、ずっと対峙している。




成二「…二度とそのツラ見せんじゃねぇ!!!!!!!」




成二は、龍くんに向かって叫んだ。


それは、前のように怒りに満ちた目ではなく


悲しみに満ちた目で。




紗姫「………………」



─────────…


授業始まりの合図がなり、あたしたちは渋々と学校を出た。



龍「………………」


龍くんは、ずっと何かを考えているように上の空だった。
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