空へ。‐夢の先‐
「待って下さい!!!」



すると、背後から女の子の叫び声がした。



龍「…?授業始まってるようだけど、」

「いいんです!

…あの、あたしのこと覚えてませんか…?"龍兄ちゃん"…」



龍「………あ!…美樹(みき)ちゃん!?」

美樹「お久しぶりです、」


見る限り普通の女の子。美樹と呼ばれたその女の子は、なぜか今にも泣き出しそうな顔をしていた。



龍「…どうした…?」


美樹「…あの…
聞いてほしいことがあって…、」

紗姫「…んーとぉ、
あたし去りましょうか…?」


よし、いい感じ。

今日は空気読めてるぞあたし。



龍「美樹ちゃん、この子俺の教え子になる子なんだけど…、」

美樹「そうなんですか!?じゃあ…一緒にお話してくれませんか…?」



はいアウトー。

あたしの勘、大外れ。



─────────…



美樹ちゃんの案内で入った近くの喫茶店。

割と人も少なく、落ち着いた雰囲気が漂っていた。




美樹「あの、龍兄ちゃんは成二のこと…

自分の劇団に誘いに来てくれたんですよね?」


龍「ああ…」


美樹「成二のこと…見捨てないであげて下さい、」


龍「…見捨てる?」


美樹「成二のいる演劇部って、廃部寸前なんです…

部員は今の成二たちだけで…」


紗姫「え、待って待って!
お芝居嫌いなのに演劇部入ってんの?おかしくない?」


美樹「学校の規則なんです、部活やるの…。

龍兄ちゃんがいたころより数が激減して、

割とマジメな部員が多かったんですけど…


成二が入ったことによって怖がって辞めていっちゃって、」


紗姫「………………」




龍「…じゃあ、あの周りの不良は?
あの子たちも演劇部なんだろ?」


美樹「はい、村田くんたちは同じ演劇部なんですけど…

成二についてきたって感じなんです


演劇部は小道具とかが多いから暇つぶしに遊べるって…」
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