空へ。‐夢の先‐
龍「…俺が守るよ、」


美樹「……え?」


龍「…アイツら5人、俺が守る、」


紗姫「5人?」


龍「ああ、アイツら全員に素質を感じた。

今更1人も5人も一緒だよ」


美樹「…龍兄ちゃん…、」



龍「…心配すんな!」



不安そうな美樹ちゃんにそう告げると、龍くんは今日1番の笑顔を向けた。




─────────…


美樹ちゃんと別れたあと、ご飯や買い物をしたり。

結構な時間が経ち、帰り道の車の中。




紗姫「……龍くんってさ、」

龍「ん?」

紗姫「あたしたちに夢見せてくれるけど、」

龍「……………」

紗姫「…龍くんはないの?」


龍「んー…、
俺は今は劇団のことや目の前の仕事でいっぱいいっぱいだけど…、」


紗姫「……………」


龍「ハリウッドだって行きたいし…
東条さんっていう演出の人がいるんだけど
その人の舞台にも出たいし

好きな漫画の実写だってやりたいし


でもやっぱ1番は…みんなを照らすような…

太陽みたいな俳優になることかな」


紗姫「…太陽…、」



龍「…あと結婚もしたいな(笑)」

紗姫「はは!、」



龍「……紗姫は?」

紗姫「…………、」

龍「……夢、ないのか?」


紗姫「…あたしはまだ大きなこと考えらんないけど…、」


龍「うん、」



紗姫「とりあえず、龍くんみたいな役者さんに
なりたいのは確かっす、」



初めて、ハッキリとした言葉で夢を言った。


すぅーっと、臆病だった心が軽くなってく気がした。



龍「…そうか…嬉しいな、」




運転している龍くんの背中を見た。



その背中に、あたしは心の中でつぶやいた。




きっとなってみせるから、と。
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