空へ。‐夢の先‐
‐紗姫side‐



龍くんから出された指令はこうだった。



・成二が危ないと4人に嘘の電話する
・4人がついても部室には入れない
・4人を部室前から逃がさない



女優への第一歩なんて言うから何かと思えば

ただのウソ電だった。




でも、そのおかげで
あたしは完全に吹っ切れた。




誰に何と言われても、絶対について行く。

龍くんの背中に。




その日の夜は、珍しくぐっすり眠れたのを覚えている。






─────────…


そしてやってきた、記者会見の29日。


午後8時50分からの生放送。

あたしの心臓は爆発しそうだった。




春花「がんばれ紗姫〜!」

喜美「テレビ見てるからね〜!!」

内村「緊張すんなよ〜!!」

田中「事前にトイレいっとけよ」

橋口「お前あのマイペースに喋るクセやめとけよな!」



母「紗姫〜!ファイティーン♪」

父「スカートもうちょっと下ろしなさい!焦」

仁喜「家から応援してっからな!」

瑠姫「がんばって!」

笑喜「紗姫ねーがんばれよー!」

麻姫「頼むからヘマすんなよ!」

唯喜「ばいばぁい!」


悠太「暗いけど気つけてな!」

恭也「……………」

章介「しっかり挨拶しろよー!」





駅のホームでは、みんながそれぞれ手を振って言葉をかけてくれた。


あたしも手を振り返してあたたかい家族や友達に見送られながら、電車に乗った。




…カツラギは来てくんなかったか。


そう思ったとき。



新着メールを開くと


From:カツラギ
本文:今日行けなくてゴメン。 Have a nice day!


そう書かれていた。



…よっしゃ!!!



心の中で気合いを入れ直して


今から始まる夢に心を踊らせた。
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