空へ。‐夢の先‐
紗姫「ああ、はい、知ってます!

テレビとかでよく見たんで」


「そうですか、私その沢木のマネージャーをやっているんですが

沢木が前川さんを見て自身の立ち上げる劇団の団員に是非なっていただきたいと申しているんです」



・・・は!?


坦々と何言ってんだこの人。


あの沢木龍の劇団にあたし…!?


芸能事務所の方があたしなんかに何の用かと思えば…。

つーか今になって怪しくなってきたな。

大体「沢木が」って。

その本人いつあたしのこと見たんだよ。



紗姫「…あの、沢木さん?がって…

あたし沢木さん?…と会ったことないんですけど…」



でも、もし詐欺にしちゃ下手くそすぎやしないか。

あの沢木龍のマネージャーだとか言ってスカウトしてくるなんて。



「息なり沢木自身が現れれば前川さんが混乱するかと思いまして…申し訳ありません。


実は先ほど沢木と歩いている際に、お買い物の最中だった前川さんをお見かけしまして。


沢木が少しでも彼女に可能性があるようなら直接話すから

連絡を入れてくれと言われたものでして、

私からまずお話させていただこうと思ってお声をかけさせていただいたんです、」



にこりと笑う町田さんは、とても何かを企んでいるようには見えなかった。


いやでも悪人とはそういうものだろうか(しつこい)。



紗姫「…え、ってことは今頃その辺であの沢木龍がウロウロしてるんすか!?」



自分で考えついて、ビックリして少し口調が荒くなる。


やべぇ人間失格。



「はい、実はそうなんです(笑)
私からの連絡を待っているので、」


紗姫「な、なんか夢みたいで信じられないですね…」

「そうですよね、やっぱり

前川さんは将来の夢などございますか?」


紗姫「夢…、いや特にないですね…」
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