空へ。‐夢の先‐
──────夜。


ついに寮に入って、ある程度荷物を片付けて集会所に集まっている。


前には龍くんが立つ。




龍「全員揃ってるな。


よし!!明日から一年間、みっちり稽古だ!

みんなよろしくな」


「「「はい!」」」


幸平「あれ?今日からじゃないんすか?」


龍「今日はいろいろ忙しいからな。


まずはこれを配っておくから、時間ができたらやるように!」



龍くんが最初に配ったのは、滑舌の本。

それからは予定表などを全員に配って、話が続いた。




龍「───…じゃあ一年間の大幅な流れや稽古の詳しい内容はこれで終わりだ。


何か質問はあるか?」




誰も手を挙げないのを確認すると、龍くんの表情が少し和らいだ。



説明中、里緒と沙也香がだるそうにしていて

私語を始めたので後ろから麗奈と小突いた。




龍「よし、ないな。

良かった、ちゃんと言えた(笑)」


賢人「何言ってんですか!大人でしょ(笑)」


龍くんが安心したように笑って、みんなもそれにつられて笑った。




ピーンポーン…

───ガチャッ




そのままみんなで世間話に突入していると、ドアが開いて誰かが入ってくる音がした。




龍「あ、来た来た!」


龍くんは一瞬、子どものような笑顔を見せた後、ドアノブを握った。



────ガチャッ



百合「わ!、沢木さん!」

龍「町田さん、ありがとね」

百合「いえ、みなさんお仕事でおしてしまって…遅くなって申し訳ありません!」



龍「気にしないで、


はい、じゃあ今から俺が何らかの形で稽古に出られない日や

時間ができた日に来てくださる指導員を紹介する。

普段から俺がお世話になってる人たちだから、失礼のないように!


入ってきたらしっかり挨拶しろよ!」



百合さんの荷物を受け取って、テーブルに整理しながらあたしたちに向かってそう言った。
< 86 / 125 >

この作品をシェア

pagetop