空へ。‐夢の先‐
その日は、色んなことを感じた。


沢木さんがくれた封筒を持って、家へ向かう。

もし劇団に入れば
一年間寮に入って研修生として稽古に励むらしい。



6ヶ月間毎日稽古。

そして6ヶ月を過ぎれば、次はまた6ヶ月間稽古とエキストラなどの実習活動。


それらの研修期間が過ぎれば、引き続き稽古やエキストラ活動、舞台上演に加え

本格的な売り出しをするらしい。


高校は寮から通うことになるんだとか。


沢木さんがその場で書いてくれた
あたしへの手紙には、あたしの目線を考えて書いてくれた温かい文章が並んでて


それと一緒に沢木さんの映画の撮影現場への見学券が入っていた。




町田さんから聞いた話、沢木さんはこれから育てていく自分の教え子のために

その映画の監督さんやスタッフさんに
何度も何度も頭を下げて見学会を許可してもらったらしい。



凄い人だと思った。



初めて会った沢木龍という人は

かっこよくて、優しくて、スタイルも良くて背も高くて。


色んな表情を見てその奥に感じたのはどこかシャイで、不器用で、クールなように見えて熱い人で、

凄く人間らしい人だと思った。



何となく、ふわっとした暖かさに心が包まれた気がした。





紗姫「ただいま〜♪」


母「おかえり、…なに?ご機嫌だね?」

紗姫「うん♪母さん、あとで話あるから聞いてね」

母「分かった。
…何もうその荷物(笑)またたくさん買ったねぇ〜」


紗姫「いえーっす!…麻姫(まき)とかは?」


母「麻姫は彼氏とケンカして部屋でふて寝。

瑠姫(るき)と仁喜(じんき)はまだ仕事」


紗姫「ふぅん…、」
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