空へ。‐夢の先‐
成二「家に龍のDVD取りに行くんだよ」


賢人「そう言えば龍くんに頼まれてたよな?

何かあったのか?」


成二「自分の演出見直したいんだと、」


紗姫「へぇ…急にどうしたんだろね?」


成二「蓮たちの方向性に迷ってんだろ
あいつら最近だらけだしたから。

あ、隆は省いて」


拓「そういえば秀次も最近しょっちゅう家に逃げ込んでるんだよなぁ」


紗姫「うっそ…マジ?、」


賢人「夕飯までには戻って来いよ?」


成二「分かってる。
おい紗姫、お前けっきょくどーすんだよ」

紗姫「行きます行きます!」


成二「んじゃ行くぞ」



さっさとリビングを出て行く成二のあとを急いで追って、外に出た。



紗姫「立派な単車ですこと、」

成二「2ケツ無理なんだけどな、法律上」

紗姫「え、大丈夫っすか!?」

成二「おめーだって昔は無免で運転してたろ」

紗姫「してたけど」

成二「俺んちバイク屋だから安心しろ、運転のほうは」



そう言って単車の準備が整う。

投げられたヘルメットを受け取って笑う。



紗姫「可愛いヘルメットだね、
成二っぽくない、」


ピンク色に、可愛いステッカーだらけのヘルメット。



成二「ああ、前の女の、」


自分もヘルメットをつけながらサラッと言った一言。


紗姫「え、」



成二「おら、乗れよ」



呆然と立っていたあたしに差し伸べた手。


紗姫「…ありがと、」



少しドキドキしながらその手を取って、単車の後ろの席にまたがった。



成二「ちゃんとつかまっとけよ」


紗姫「うん、」



ドキドキが収まらないから、控えめにつかまるように成二の服をぎゅっと握った。




遠慮してると思われたくないっていうのと

くっつくのが恥ずかしい思いが交差した。





1ヶ月間、この辺を走りつづけていれば

自然と道は頭の中に入ったようで。




頼んだ工事現場まではあっという間についた。
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