空へ。‐夢の先‐
紗姫「え、カツラギいないんですか!?」


「そうなんだよ、今日だけだからって凄い頼み込んできてね、」


紗姫「病気とかじゃないですよね?」

「ああ、それは大丈夫だよ!
やりすぎだってくらいいつも働いてくれるから

逆に休んでもらったよ、」

紗姫「良かった…、じゃあ、これ差し入れです、」



あたしは、カツラギに渡すはずだった手作りのクッキーを

カツラギの事務所の社長さんに渡した。



紗姫「あたしの手作りだから形最悪だけど…」

「紗姫ちゃんの手作りか!そりゃ嬉しい!
ありがとうね、」

紗姫「いえ!
じゃあ、また来ますね!」

「はいよ〜!」




工事現場から出て、外で待つ成二のもとへ向かう。


紗姫「ごめんごめん」

成二「おう、」


紗姫「いなかったよカツラギ、」

成二「そうか、

つかカツラギって誰だよ」

紗姫「お友達〜♪」



そう言ってさっきのヘルメットをつけてから、
単車の後ろにまたがった。



紗姫「わざわざ寄ってもらってごめんね!行こ!」

成二「…おう、」



また走り出した単車。

カツラギ…風邪かな。大丈夫かな。



そんなことを思いながら、つかまった背中に
少しだけ頭を預けた。




成二「…………?」




─────────



紗姫「わ、すご。
マジでバイク屋なんだ〜」


成二「おい、あんまうろちょろすんなよ」

紗姫「かっけ〜」

成二「おい、くせーからやめとけって、」



どんどん作業場の奥に入っていくあたしを成二が口で止める。



紗姫「くさくないよ」

成二「あ?」

紗姫「あ、これ成二が手かけたっぽい」



奥に、いかにも成二が手入れしたような単車があって

あたしはそっとそれに触れた。




成二「…んなもんいじれたって得しねえけどな。」


さらりとそう言った成二に、あたしは言い返した。



紗姫「なんで?いいじゃん?

お前も嬉しいよなー?お手入れしてもらえて」



目の前の単車をなでながら話しかける。
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