空へ。‐夢の先‐
椅子に座ったまま振り向いた龍。

美子も目線だけ春男に向けた。



春男「なんすか?」

龍「お前さ、上からすげーいっぱい星が降ってきたらどうする?」

春男「はい?」



呆れたようにそう返した春男。

龍と美子を交互に見て、こう答えた。



春男「……ん〜、降ってくるなら捕まえる、かも」



龍「だって、美子」


ゆっくり頷く美子。



春男「…今日はそんな風景見たの?」

美子「うん」

春男「綺麗だった?」

美子「うん」

春男「あそ、良かったね」

美子「…うん」



春男「じゃあ俺寝るね、」

龍「おう、よく寝ろよ〜!」

春男「うす、」



────バタン、




龍「…あれ?どうした美子、

笑ってるじゃん」


春男が出て行った直後、嬉しそうに美子に笑いかける龍。



美子「星が降ってきたときね、となりで…───、」


龍「?」



“落ちてくる星を掴もうと、がんばってる人がいたの。”



龍は知らなかった。

自分が聞き取れなかった言葉の中に“運命”が隠れていることを。





─────────…


またそれと同じころ、夜道を走る車の中。



沙也香「やっば!!マジウケる腹痛い〜〜〜!!」


春樹「ちょっとそんなに笑わなくてもいいだろ!(笑)」


沙也香「だって絶対おかしいですやんその行動!!」



助手席で大笑いする沙也香に

運転しながら居心地良さそうに笑う春樹。



2人は沙也香が大ファンである浩介の家に誘われて行っていたのだ。


気が合う2人は、会うたびに話すと、終始こんな盛り上がりようを見せる。



沙也香「マジ天然っすね真帆ちゃん(笑)」

春樹「あの人のあれは治らないだろうねぇ(笑)、」



笑い合う2人。

突然、春樹が真剣な声を出した。
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