気になる背中
家に帰る時も大塚君が、私を心配して家まで送ってくれることになった。
隣りを歩く大塚君に、
なにか話さないと…
普通にしないと…
と、頭の中ではそう思っている。
けど、いざ普通にしようとすると、
舌がもつれて、焦って、結局なにも話せなくなる。
…そうなると、大塚君の方も口数もどんどん減っていって、家に着く頃にはほとんど無言だった。
「…あの、私の家もうすぐそこだから…。
…えっと、送ってくれてありがとう」
なんとかそう伝えると、大塚君も「うん」とだけ頷いた。
そして、「じゃあ」と別れようとしたその時…、
「神崎」と、少し強めの声で呼ばれた。