気になる背中
それでもすぐに起きる気にはなれなくて、
一階に降りて行ったのはそれからしばらく経ってからのこと。
ダイニングに入ると、もう既にテーブルには食事が並んでいた。
「お兄ちゃん、ごめんなさい…」
「あぁ。あいつが作ってっただけだから気にするな…」
謝る私に、お兄ちゃんはなんてことないようにそう返した。
"あいつ"というのは、きっと佑香さんのことだ…。
テーブルの上を見れば、
いかにもという様な家庭的な料理がいっぱい。
佑香さん、料理も出来るんだ。すごいな。
そういえば、前作ってもらったお粥もすごく美味しかったな…。
私とは比べ物にならないくらい立派な料理に、そんな感想を抱いた。
「…それより、具合でも悪かったのか?」
さっき寝ていた事を聞かれ、私は慌てて首を横に振った。
「ううん。遊び疲れて寝ちゃっただけ」
そう笑って誤魔化した。
その言葉に納得したのか、お兄ちゃんは小さく溜め息を零した。