気になる背中
「そいえばクラスの子からメールで回ってきたんだけど、今度の水曜にさクラスで遊ぼうって」
翌日。奈々子ちゃんの家にお邪魔して一緒に夏休みの課題をしていると、ふいに奈々子ちゃんがそんなことを言い出した。
「クラスで?」
「そう!ボウリング行って、そのあとカラオケだって」
ボウリングにカラオケ……。
言われてきょとんとなる。そういうのに参加する自分が想像できなくて。
それに、そういうのに誘われるのも生まれて初めてだったから……。
「澪どうする?」
「えっと……、私も行っても良いのかな……」
「良いに決まってんじゃん!」
思わず躊躇してしまうと、奈々子ちゃんが勢いよく言い返した。
(そっか……良いんだ。私も……)
そう思うと、すごくほっとした気持ちになる。奈々子ちゃんに言ってもらえるからか、尚更心強く感じた。
「……あ、でも、ごめん。今度の水曜日は…予定あったんだ…」
「そうなの?残念……」
嬉しかったのも束の間。
その日は大切な予定があったことに気付く。すぐに謝ると、奈々子ちゃんがしゅんと残念そうな顔をした。
「ごめんね、本当に……」
「ううん。あたしは良いけど……けど、大塚にメールしといて」
「大塚君?」
どうして大塚君に?と、疑問を浮かべながら奈々子ちゃんを見つめると、奈々子ちゃんはペロッと悪戯っぽく舌を出して小さく笑った。
「メールくれたクラスの子って、実は大塚なの。澪も誘ってって言われてたんだけどねー」
「大塚君、に……?」
奈々子ちゃんの言葉にすごくびっくりした。なんでだろって思って。
心臓がとくんとくんと少しずつ大きな音を立て出した。