気になる背中


「どうして大塚君が……?」

「そんなの澪に来て欲しいからに決まってるでしょー? なんか、自分から誘うと澪に変な気遣わせそうでヤダからって言ってあたしに頼んできたけど」

「えっと……」


奈々子ちゃんの言葉に頭が混乱する。
大塚君はどうして私に来て欲しいって思うの?どうしてそんなに私なんかのこと気遣うの?

(どうして……)

頭がいっぱいいっぱいで、答えが見つからない。


「それで、ぶっちゃけ澪はどうなの?」

「……えっ?」

「大塚のこと、どう想ってるの?」

「えぇっ!?あの……っ」


奈々子ちゃんが悪戯ぽく微笑みながら私を見る。その突然の質問に、かぁっと顔に熱が集まるのを感じた。


(大塚君のこと、どう思うかって……)


そう考えた時。

真っ先に思い浮かんだのは、いつも見ていたあの後ろ姿だった……。



「お、大塚君は……」

「うん?」

「えっと、前の席で、とっても姿勢が良いなって思うの……」

「……えっ?姿勢?なにそれ?」

「だから、その…背中が綺麗だなって……」

「……。

澪のそれって、天然?」


思ってることを口にすると、奈々子ちゃんに首を傾げられてしまった。私、なにか変なこと言ってしまったかな……。


「さっきの話聞いてその答えが出てくる澪って、ある意味すごいよね」

「え?」

「いや、良いよ。澪はそのまんまで」

にっと奈々子ちゃんが笑う。
わたしはよく意味がわらかなかったけど、とりあえず頷いて返した。


(やっぱり変だったかな…背中が綺麗だなんて……)

心のなかでそう呟く。
けど、大塚君のことどう思うかって聞かれたら、どうしてもあの背中の事を思い出してしまうから……。


(あの大塚君の背中も、大塚君自身も……私は、すごく好きなんだけど……)


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