気になる背中
……奈々子ちゃんに尋ねられて、私は思い切って奈々子ちゃんに相談することにした。
お昼ご飯を食べながら、私はこれまでの大塚君とのことを話す。
視線が合うとか、私の自意識過剰だって言われるかもと思ったけど、奈々子ちゃんは私の話を笑わないで聞いてくれた。
「ほほう、それは気になるねぇ」
「うん……。
けど、あの日以来なにも言ってこないし……」
「あたしが訊いてこようか?」
「だっ、だめっ!!」
「わかってるよー。冗談、冗談。澪ってば可愛いー」
奈々子ちゃんは私の反応を面白がるように笑って、ぎゅーっと抱きついてきた。
子供扱いされてるみたいでなんだか恥ずかしいけれど、奈々子ちゃんは私よりずっと大人っぽいから仕方ないのかもしれない。
するとそこで、授業の予鈴が鳴った。
「やばっ、早く教室戻んないと……!」
「う、うん!」
一年の教室は一番上の階だから、急いで行かないと遅刻してしまう。
私たちは慌ててお弁当箱をまとめて、教室に戻るために走った。
奈々子ちゃんは走るのが速いけど、私は運動音痴でどんくさいから上手く走れなくて、距離がどんどん離れてしまう。
追いつこうと、必死になって走っていたその時。
どんっと、曲がり角で人とぶつかってしまった。