気になる背中
そんなある日のこと。
「ねぇ、2人ともうちに遊びに来ない?」
遊びに来ていた佑香さんが、突然そんな提案をした。
「うちの両親今旅行中で、家に陸しか居ないから退屈でさー。
ご飯作るから2人とも食べに来てよ!」
そんな風に誘われて、私は少し困惑する。
お兄ちゃんはわかるけど、どうして私まで…?
そう疑問に思う私に、佑香さんはこう言った。
「神崎だけ来てもつまんないんだもん。無口だし無愛想だし」
「悪かったな…」
佑香さんの言葉にお兄ちゃんがむすっとした様子でそう呟いた。
「そういうわけで、澪ちゃんも来てくれたら嬉しいなー」
「…え、えっと……」
佑香さんにお願いされて、その断りずらい雰囲気に私は思わず言葉を詰まらせた。
誘ってもらえて嬉しいけど…
でも本音を言えば、行きたくない。
だって、佑香さんの家って言ったら、大塚君の家でもある。
どんな顔して彼に会えばいいかわからないし、
そもそも、大塚君も私が来たら嫌がるんじゃないかって思った…。
「だめ…?」
「えっと…、あの…」
どうしていいのかわからなくてお兄ちゃんの方を見れば、
お兄ちゃんからは「お前が決めろ」と素っ気なく言われてしまった。