気になる背中
「す、すみませ…」
ぶつかった衝撃で廊下に尻餅をついてしまった。
慌てて顔を上げてぶつかってしまった相手に謝ると、その人は私のよく知っている人だった……。
「澪!?大丈夫!?」
奈々子ちゃんが気付いてこっちに戻ってきた。
私はそれに応えることが出来ず、目の前の人を見て固まっていた。
「廊下を走るな」
「ご、ごめんなさい…っ」
冷たい声で言われ、怖くて謝る声が小さくなってしまう……。
その人がすっと手を伸ばして私の腕を掴んだ。
掴まれた瞬間びくりと体が震えた。
「気を付けろよ」
「はい……、ごめんなさい」
これだけのことに、私は泣きそうになっていた。
そんなの知られたくなくて、顔は自然と俯いてしまう。
腕を引いて起き上がらせてくれたのに、私はなにも言えず俯いたまま。