気になる背中
「よし!じゃあ起こすとしますか!!」
言いながら佑香さんは腕まくりをする。
そんなに気合いを入れるほどなのかと思ったけれど、
実際に大塚君の寝起きの悪さはすごいものだった。
佑香さんがどんなに叩いて大声を出しても起きようとしない。
やっと瞼を上げたと思ったら、そのままずっとぼーっとしていた…。
「陸、起きた!?」
「んー…」
佑香さんの声にそんな風にぼんやりと返す大塚君。
私はなんだか可愛く思えて思わず笑ってしまった。
「じゃ、私もう夕飯作りに戻るから、澪ちゃんは陸がそのまま寝ないように見張ってて」
「えぇっ!?」
佑香さんに言われて私は思わず大声を上げてしまった。
…だって、こんな状況で大塚君と2人きりなんて無理。
それに佑香さんみたいに起こすのだって出来ない。
そう訴えかけたけれど、佑香さんは「大丈夫」と笑って部屋から出て行ってしまった…。