気になる背中
「どうしよう…」
部屋に取り残されて、私はぽつりと呟いた。
大塚君は瞼を少し開けたままぼーとしていて、私が此所にいるのにも気が付いていないみたい。
そのまま様子を見ていたら、大塚君の瞼がうとうとと下がり始めた…。
「お、大塚君っ!!」
私は慌てて大声を上げた。
すると、瞼はまた持ち上がって、瞳がまっすぐ私を見つめた…。
「……かんざき」
大塚君がかすれた声で小さく私の名前を呟いた。
「…なんでいるの?」
「えっと、佑香さんに呼ばれて…」
「ふーん…」
と、ぼーっとしたままの彼と言葉を交わす。
「大塚君、起きれる?」
「んー…」
そう答えるものの、大塚君は動く気配はない。
今の大塚君は、いつものしっかりした大塚君とはまるっきり掛け離れている。
いつもは大人っぽくて落ち着いてるのに、今の大塚君はすごく子どもっぽい。
違う一面が見れて驚く反面、すごくドキドキ…。