気になる背中



「どうしよう…」

部屋に取り残されて、私はぽつりと呟いた。


大塚君は瞼を少し開けたままぼーとしていて、私が此所にいるのにも気が付いていないみたい。


そのまま様子を見ていたら、大塚君の瞼がうとうとと下がり始めた…。


「お、大塚君っ!!」

私は慌てて大声を上げた。

すると、瞼はまた持ち上がって、瞳がまっすぐ私を見つめた…。




「……かんざき」


大塚君がかすれた声で小さく私の名前を呟いた。


「…なんでいるの?」

「えっと、佑香さんに呼ばれて…」

「ふーん…」


と、ぼーっとしたままの彼と言葉を交わす。



「大塚君、起きれる?」

「んー…」


そう答えるものの、大塚君は動く気配はない。

今の大塚君は、いつものしっかりした大塚君とはまるっきり掛け離れている。


いつもは大人っぽくて落ち着いてるのに、今の大塚君はすごく子どもっぽい。

違う一面が見れて驚く反面、すごくドキドキ…。

< 132 / 214 >

この作品をシェア

pagetop