気になる背中
「森川せんせー、ちょっと休ませてー」
「相沢、授業はサボるなとあれほど……」
保健室に入ると、保健医の先生が面倒くさそうな顔をして奈々子ちゃんに向かって声を上げた。
「違うよー。この子がちょっとそこで転んじゃってさー」
言いながら奈々子ちゃんが私の腕を引いた。
「失礼します」と、私も中に入ると、先生は先程とは打って変わり真面目な顔をした。
「どこか怪我した?痛むところは?」
「い、いえ……、足を少し擦りむいただけです」
「一応絆創膏貼っておこうか。
傷口洗ってきな。……あと、顔もな」
「……は、はい」
先生が最後に付け加えた言葉に、かぁっと恥ずかしさが一気にこみ上げてきた。
(泣き顔を見られちゃった……)
涙でぐしゃぐしゃで、すごくみっともない顔してるんだろう……。
恥ずかしくて私はすぐに洗面台に向かった。