気になる背中
先生の言葉に、体が一気に冷たくなっていく気がした……。
私の反応を見て先生が「妹って言われるの嫌だった?」と、心配そうに訊いてきた。
先生の言葉に、私は慌てて首を振った。
「いいえ、なんていうか……、お兄ちゃんは私みたいなのが妹だって知られたら迷惑じゃないかなって……」
先生の言う通り、この学校の2年に"神崎 亮佑"という私の兄がいる。
お兄ちゃんは私とは違って何でも出来る人だ。
勉強も運動も、なんでも器用にこなして、いつも一番の成績を取る。
優秀な兄。
出来の悪い妹の私は、いつも比べられて、コンプレックスのようなものを抱えていた……。
「……それってまさか、さっきぶつかった人?」
私の話に奈々子ちゃんがそう尋ねる。
その言葉に私は頷いて答えた。
奈々子ちゃんの言う通り、さっき廊下でぶつかったその人は私のお兄ちゃんだった……。