気になる背中
「…澪って可愛いよ」
頭の上からはそんな声が降ってきて、ますます顔が上げづらくなる…。
それでも陸君はお構い無しに言葉を続けた。
「あ。でも、前化粧してた時はやばいぐらい綺麗だった…」
「…うそ。
似合ってなかったの知ってるもん…」
陸君の言葉に私はそう言い返した。
あのテスト勉強の時、
奈々子ちゃんにメイクされたけど、陸君の言うような綺麗なんてものじゃなかった。
違和感でいっぱいだったし、絶対似合ってなかった。
私がそう尋ねると、陸君は少し困ったような声でこう話し出した
「澪は自覚がないだけで、本当はすごく綺麗だったよ。
俺、全然勉強に集中出来なかったし…」
「…だからあの時、早く帰ろうって言ったの?」