気になる背中




「ねぇ、神崎さん。ちょっと良いかな?」


休み時間にそんな風に声を掛けられた。

相手は、あの桜井さんだった。



「う、うん…」


思わず顔が引きつってしまいそうになるのを必死に堪えて頷いた。

話があると言われ、すごく怖かった。


桜井さんが私に話だなんて、きっとたぶん陸君のことだと思うから…。

今朝の一件で、陸君と私が付き合ってることは桜井さんにも知られている。

だからもし桜井さんが陸君に好意を抱いていたら、きっとすごくショックだったんじゃないかって思った。



「ちょっと、澪のことで話があるならあたしに…っ!」

「いいの。奈々子ちゃん」


一緒にいた奈々子ちゃんが間に入ってくれたけれど、私はそれを止めた。

ちゃんと私自身が向き合わないといけないから…。


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