気になる背中
「あの、話って…」
廊下の端っこまで来て、桜井さんと2人っきりになる。
向き合わないといけないって思ってはいるけれど、やっぱり緊張しちゃう…。
「陸君と付き合ってるって、本当に?」
桜井さんが私をまっすぐに見つめてそう単刀直入に訪ねた。
「うん」
私もしっかりと桜井さんの目を見てそう頷いた。
「そっか…
あのね…私、陸君のこと好きになりかけてた…」
私の返事を聞いた後、桜井さんははっきりとそう言った。
やっぱりって気持ちになった。
胸の奥がすごく痛かった。
「…いや、あのっ、だからって陸君と神崎さんの仲を邪魔しようとか、そんなこと思ってないからっ!!」
そう言って桜井さんはなにか言い訳をするように身振り手振りで否定した。
それから、
「…ごめん。こんなこと言い訳だよね」
と、しゅんと顔を俯けながら呟いた。
私は彼女の言いたいことの意味がよく理解できなかった。
「あの…、言い訳って?」
思い切ってそう訪ねると、
「昨日のこと、ごめんね」
と、そう返された。