気になる背中


そのあと日向ちゃんは、奈々子ちゃんともすぐに打ち解けて友達になった。



「…それでね、今日は奈々子ちゃんと日向ちゃんと一緒に放課後ケーキ食べに行こうってなったの」


嬉しくってそう陸君に報告すると、陸君からぎゅうっと抱き締められた。


「きゃっ!? り、陸君っ」

「……すっごい妬ける」


前屈みの体制からぎゅうっと抱き締めて、甘えるように私の肩に頭を乗せる陸君。
ぽつりと呟かれた言葉に、私はさぁっと
顔から熱が引いた。


「ごめっ…陸君、日向ちゃんと仲良かったもんね」

「じゃなくてっ!桜井と奈々子に妬けるって言ったの…」


慌てて謝る私の言葉を遮るように陸君が声を上げた。


「俺だって澪と帰りたいし、放課後も…デートとか、さ…」


ぽつりぽつりと呟かれ、私はかぁっと顔がすぐに熱くなった。



「…えっと、あ、あのっ……今日はだめだけど、明日…一緒に帰ろう?」


私はドキドキしながら精一杯にそう返す。

抱き締められたままの状態で、どうしていいかわからなかったけれど陸君の背中にそっと手に触れる。

するともっと強く優しくぎゅうっと抱き締める力が強くなった。



「……わかった。

明日、約束。ぜったいな……」

「うん…」

「あと……」

「うん…?」

「明日の朝も一緒な」

「うん」




…そうして、

その翌日から、私と陸君は毎朝一緒に登校することとなりました。


fin

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