気になる背中
「いや、あの、ウチらの勘違いだったら別にいいんだけどさ……」
奈々子ちゃんの剣幕に、その子たちはちょっと怯えているように言葉を返した。
「うん。勘違いだったら、それでいいの」
「そうそう!もし本当だったら、大塚はやめといた方がいいよって言おうと思ってただけだし……」
「……どういうこと?」
その子たちの言葉に、奈々子ちゃんが不思議そうに訊ねる。
「大塚って、付き合ってる彼女いるらしいからさ。
神崎さん純粋そうだし……、大塚に遊ばれちゃったら嫌だし……」
と、その子たちは説明する。
大塚君がそんなタイプだとは思えないけれど、それでもその子たちは私の事を心配して話し掛けてくれた。
そう思ったら私はまた俯いてしまった。
私なんかを心配してくれて嬉しかった。
そして、そんな彼女たちを苦手とか怖いとか思っていた自分がすごく恥ずかしかった……。
「えっと、まぁ、そういうわけ!
ごめんね、神崎さん。いきなり声かけて」
俯く私に、その子たちがそう声を掛ける。
私は慌てて顔を上げた。
「う、ううん……!
あっ、あの、ありがとう!」
精一杯笑顔を浮かべてそう返した。
すると、
「かっ、可愛い〜!!」
と、言いながら何故か一斉に抱きつかれてしまった。