気になる背中


……それからしばらくして、玄関のチャイムが鳴る音が聞こえた。

お兄ちゃんは彼女さんと居るし、邪魔しちゃいけないと思って私が出ることにした。


階段を下りて、玄関のドアを開ける。


すると、そこには同じ高校の制服を着た男の人。

ネクタイの色が一つ上の学年のものだから、多分お兄ちゃんの知り合いだと思う……。



その人は、私を見るなり一言

「萌えぇぇっ!!」

と、叫んだ。



そして、叫んだまま私に向かって抱きついてきた。


でも、それは未遂に終わった。

いつの間にか私の後ろに立っていたお兄ちゃんが、抱きつこうとするその人の頭を押さえていたからだ。


「成瀬、お前なにしに来た」

「遊びに来たんだよー!

っていうか、そちらの可愛いお嬢さんはもしかして、亮佑くんの妹ちゃんですか?」

「……あぁ」


成瀬と呼ばれたその人は頭を押さえ込まれたまま、お兄ちゃんとそんな会話をしていた。

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