気になる背中
「よかった……。神崎の兄さんのこと、ずっと知りたかったんだ」
大塚君は安心したような溜め息を吐きながらそう言った。
「そうだったの?」
「うん。だってあんだけ格好良くて頭良いんなら、姉ちゃんなんかよりいい女選びたい放題だしさ……。
だから、姉ちゃん遊ばれてんじゃないかって思ってさ……」
「お兄ちゃんはそんなことしない!!」
大塚君の言葉に私はつい怒った声を上げてしまった。
そんな私に大塚君は「ごめん」と謝って、こう言葉を続けた
「でも、さっきの神崎の話聞いてよくわかった。
お兄さんいい人そうで安心した」
そう言って大塚君は少し照れくさそうに笑った。
私もつられて笑みを零した。
でも、お兄ちゃんのことわかってもらえて嬉しい反面、なんだか少しだけ胸の奥が痛んだ気がした。
大塚君が気にしていたのは、私じゃなくて、私のお兄ちゃんだった。
そのことが、少しだけ寂しかった……。