気になる背中
「大塚君、いつから居たの?」
「神崎の1回目の溜め息あたりから…」
「うそ…」
「ほんと」
「ごっ、ごめんなさい!
あの…全然気が付かなくて」
「いいよ。それよりなんかすごい思い詰めた顔してたけど大丈夫?」
「…うん」
私が大塚君の言葉に頷いて答えると、大塚君は頬杖ついて私の顔をじぃっと見つめた。
「な、なに…?」
「んー、別に…。
それより、その3番の答え、文法間違ってる」
言いながら大塚君は私のワークブックを指差した。
「過去形じゃなくて、過去完了な」
「…えっ」
大塚君に言われて、ノートと教科書を見直して問題を見てみると、彼の追う通り私の解答は間違っていた。
私は慌てて指摘された部分を消しゴムで消して、正しい答えを埋めた。
「あ、ありがとう」
「いえいえ」
あっさり答えを指摘出来る大塚君をすごいなって思う反面、自分の頭の悪さ加減が恥ずかしくなる。