気になる背中
「…神崎、ごめん…。俺すげー無神経なこと神崎に言って」
私の話が終わった後、大塚君は勢いよく頭を下げてそう私に謝った。
「ち、違うよ!大塚君は悪くないの…!」
「違わない。俺、神崎のこと泣かせた…」
「それは私が勝手に…」
「だから神崎はなんでもかんでも自分のせいにしすぎ。俺が悪いんだから謝らせて」
私の言葉を遮るように大塚君はそう言い、その言葉に私は口を閉じざるをえなかった…。
「なぁ、これから一緒に勉強しない?」
大塚君はひとしきり謝った後、そんな提案を私にした。
あまりにも思ってもみなかったその言葉に、私はきょとんとなってしまった。
「神崎さえよかったら、一緒に勉強しよう。俺でわかる範囲なら教えるよ」
「そ、そんな…っ、大塚君に迷惑じゃ」
「迷惑じゃないよ。
…それとも神崎は嫌?」
嫌かと訊かれれば、そんなわけない。
むしろ、そう言ってもらえてすごく嬉しかった。
でも、大塚君の迷惑にだけはなりたくない…。
答えられずにいると、大塚君はにこりと微笑んでこう言った。
「じゃあ決定。
明日の放課後からここで勉強な」
有無を言わせない口調でそう言れ、私は大人しく頷くしかなかった。