気になる背中
そして放課後。
いつもと同じように図書館に行こうとする前に、奈々子ちゃんに捕まった。
奈々子ちゃんは私を女子トイレに連れ込んで、そこで私に化粧を施した。
「ほら、ちゃんと隈消えたでしょ?」
「そ、そうだけど…化粧なんて私…」
「大丈夫!澪似合ってる!!」
ファンデーションで隈を隠した後、目元のメイクもされて、ビューラーで睫毛を上げられてマスカラまで付けられてされてしまった。
それだけなのに、なんだか随分雰囲気が変わったのような気がする。
「澪って弄り甲斐があるわー」
「もう、遊ばないでよ。どうせ似合ってないんだし…」
「似合ってるって!澪は可愛いんだから自信持ちな!!」
奈々子ちゃんはそう言って、ポケットの中からリップを取り出した。
「じゃあこれ付けたら完成ね」
と、私の唇にリップを塗った。
ピンク色のリップは、ほんのり甘い香りがした…。
「よし!完成!!」
奈々子ちゃんが満足そうな顔で頷いた。
鏡を見ると、なんだか自分じゃないみたいな自分がそこに居た。