気になる背中
「…へ、変じゃない?」
「変じゃないよ、可愛い!可愛い!」
恐る恐る訊ねると、奈々子ちゃんは上機嫌でそう返した。
でも、私はすごく自分に違和感を感じていて、このまま大塚君に会うのがすごく恥ずかしく思えた。
「…ねぇ、奈々子ちゃん、この後奈々子ちゃんも一緒に勉強しない…?」
一人で行くのが怖くてそう誘ってみる。
けど、奈々子ちゃんの答えは、
「遠慮しとく。あたしはテスト勉強は一夜漬け派なの」
と、あっさり断られてしまった。
「じゃ、勉強がんばってね。でも今日は早く寝るんだよ?」
奈々子ちゃんはそう言ってにこやかに笑って私に手を振った。
そして、
「あ、これあげるね。
澪に付けようと思ってさっき売店で買ったやつだし」
と、さっき私につけたリップを私に放り投げた。
キャッチすると、手の中にはピンクのリップクリーム。
リップには小さい字で"キスしたくなる唇"なんて書かれていて、それを見てまた別の意味で恥ずかしくなった…。